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福井のご当地コンビニ「オレンジボックス」の戦略 “スーパー並み”に値下げしファミリー層の“買い足し需要”取り込みへ
福井県の“ご当地コンビニ”として知られる「オレンジボックス」が2024年9月、生鮮食品などを中心に値下げし、「ミニスーパー」へとリニューアルしました。運営する大津屋に、値下げに踏み切った背景や狙いを取材しました
県内で7店舗を展開する「オレンジボックス」は、コンビニエンスストアでありながら、店内調理の弁当や総菜の量り売りが人気で、イートインスペースを大きく設けているのが特徴です。なぜ、今回、商品価格の引き下げを決断したのでしょうか。
大津屋・村田岳取締役:
「昨今、どうしても節約志向が非常に強まってきたので、その期待に応えるためには
コンビニエンスストアといえども、定価で販売するのは世の中にアンマッチなのかなと思い決断した」
とはいえ、商品価格を引き下げることは、簡単ではありません。地方の小規模な店舗の場合、大手のような大量仕入れで価格を下げることが難しいためです。
そこでオレンジボックスを運営する大津屋は、全国のミニスーパーや個人商店、約1600店が共同で仕入れを行う「全日食チェーン」に加盟。これにより、平均で15%~20%、商品価格を下げることができました。
例えば、モヤシは70円から33円に、卵は299円から199円へと値下がりしました。(取材時:10月7日の価格)
また、店内には新たに「特売コーナー」が設けらました。村田取締役は「より安くなったということを客に伝えらえるように設けた。商品を手にとってもらえる機会が増えたと感じている」と話します。
ターゲットとしては、これまでのコンビニ利用者に加え「ファミリー層」も狙っていきます。使い切りサイズの肉や冷凍食品も取りそろえ、週半ばの“買い足し需要”を捉えていきたい考えです。
大津屋・村田取締役:
「買い上げ点数が非常に多くなっているなという感じがある。だいたい1割弱増えているような感じ」
売上も伸びていて、スタート段階としては上々の成果だということです。
こうした取り組みについて専門家は―
福井県立大・北島啓嗣教授:
「実は、日本全国の動きとしては、コンビニエンスストアは値下げの方向に大きく舵を切っている。単に値下げすれば勝てるという事業環境ではないので、大津屋の努力も埋没しないようにしていかないとならない」
大手コンビニも、値下げの傾向がある中、大津屋も次の一手を考えています。
大津屋・村田取締役:
「全国の小規模なメーカーのこだわりの美味しい商品を扱っている。ここに福井のものをどんどん足していって、うまく融和させたいと考えている」
また、店の売りでもある総菜部門では、低価格帯商品のニーズを受け、手作りにこだわった、握りたておにぎりの販売を強化するほか、宅配ピザチェーンのピザハットを2店舗に併設するなどし、集客や売上の向上を計っています。
福井県立大・北島教授:
「大津屋は非常に個性的な店。値下げではなく、リニューアルという表現を使っている。オレボならではの商品もあるよ、と値下げだけではない戦略を考えている」
スーパー並みの価格にまで下げ「少しでも安く買い物をしたい」というニーズに応えつつ、便利な場所にあるというコンビニの立地を生かして、週の半ばくらいに、仕事帰りなどで足りない食材を買い足すようなイメージで利用してもらいたいと考えているようです。
コンビニとスーパーの「良いとこどり」をした店へ。大手チェーンにはない温かみはそのままに、より地域の人に愛される店を目指しています。
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