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地域で見守る“たった一人の小学生” 「廃校後も人が集う場所に」 過疎化進む福井市殿下地区

2024.08.28 18:45

人口減少について考える報道キャンペーン「75万人の未来」で今回取り上げるのは、福井市の山あいにある殿下地区です。福井市の中では65歳以上の高齢化率が最も高い地域で、殿下小学校に通う児童は、現在一人だけです。そんな殿下地区では、地域の活性化を図ろうと様々な取り組みが行われています。28日には、1人だけの小学生と住民の交流会が行われました。
  
殿下小学校にたった1人で通うのは、5年生の松平瑞也くんです。28日は、地元公民館などの主催で住民との交流会が開かれました。松平君とお年寄りたちは、椅子に座ったまま打ち合う卓球バレーを楽しんでいました。
 
松平くんは「思うように玉が行かず、なかなか難しかった」と言いながらも楽しそうです。また、参加した住民は「高齢者と子どもの交流はないので高齢者は喜んでいる」「昔は20人ほど子どもがいて楽しみが多かったが今は一人で少しかわいそう」という声が聞かれました。
  
約350人の住民が暮らす福井市殿下地区では、2024年3月に中学校が廃校となり、小学校は松平君が卒業後する2026年の3月に休校することが決まっています。
 
殿下小学校の校長先生は「教員は常勤が二人しかいないので限界がある。それを地域の人にフォローしてもらっている。地域のみなさんで子どもを育ててもらっているので、大変ありがたい」と話します。
  
人口減少が急速に進む殿下地区。住民は「隣の国見、越廼地区は人口が減っているので交流会ができればと高齢者同士でやっている」「車を運転しない人は大変。バスの便も減っている。これはどうすることもできない。流れにそっていかないといけない」と心境を話します。
  
松平君は「お父さんやおじいちゃんも通った小学校が自分の代で終わってしまうことはさみしい」と話すのに対して、父親の成史さんは「在校生が一人になったので他の友達との交流への不安はある。他校との交流は学校が取り組んでいて交流はできている。地域の方が息子を自分の子供のように扱ってくれるのでありがたい」と話します。
 
そんな殿下地区ではいま、学校に再び人が集まる機能を取り戻そうという動きが生まれています。2024年3月には、廃校となった中学校の校舎をイベントに活用し、卒業生や住民らを呼び込む「開校式」も行われました。
 
松平くんは「自然がたくさんあって空気もきれいで地域の人が優しいところが殿下のいいところ」と話します。
 
また、父親の成史さんも「自然に囲まれた学校で、自然を生かして息子もいろんな体験をして、地元の人に見守られながら学校生活を送れていることは今後の人生を送る上で誇りにできること」と、この地区のすばらしさを語ります。
 
交流会の昼ご飯は、松平君のリクエストで「流しそうめん」です。
 
松平くん:
「ぼくが流しそうめんをやりたいといって。夏だし、涼しい思いをしたい」
 
流しそうめん機をつくった住民:
「こどもが喜ぶかなと。昔はよく作ったので思い出しながら作りました。」
 
松平くん
「(そうめんを取るのが)難しいです。あー、どんどん来ちゃう……」
  
学校は昔から人が集う場所。殿下地区の人たちからは、学校自体はなくなっても人が集うという機能は維持したいという熱意、そして強い思いがありました。
  
地域でたった1人の小学生、松平瑞也くん。卒業後は生徒数の多い中学校へ通います。

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