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本格移行まで1カ月「マイナ保険証」は便利? 移行はあくまで“任意” 医療現場は“負担減”に期待も利用進まず【福井】
現行の健康保険証からマイナンバーカードの保険証への本格的な移行まで1カ月を切りました。12月2日からは現行の保険証の新たな発行はなくなります。マイナンバーカードの保有率は10月末時点で県民の約8割となっている一方、「マイナ保険証」の利用率は、9月時点でわずか2割程度にとどまっています。本格移行が間近に迫る中、カードは持ってるけれど利用が進まないという現状について、県内の病院を取材しました。
福井市の県済生会病院では、総合受付にマイナ保険証のカードリーダーが設置されています。12月2日から現行の健康保険証の新たな発行は廃止され、マイナ保険証に一本化されます。
この病院では、これまでは保険証を受付に出していましたが、マイナ保険証に移行すると、カードリーダーで本人が読み込み、病院側が行っていた作業を患者自らが行うことになります。
カードを所定の位置にかざし、顔認証か、暗証番号で本人確認を行ったあと、医療情報などの提供に同意するかどうかを選ぶというもので、10秒ほどで終了するということもあり、医療現場の負担軽減につながります。
県済生会病院では「普及が進んでいないのは使い方が分かっていないからで、実際に操作してみると案外簡単だという声もある」と話しますが、マイナ保険証を利用する患者は全体の1割程度だといいます。
そもそも、マイナ保険証への一本化は、私たちにとってどんなメリットがあるのでしょうか。
県済生会病院では「マイナ保険証を使うことによって他病院の処方箋や特定健診の結果を見ることができるため、薬の重複を防ぎ、健診での異常などをいち早く知ることができるなど診療上もプラスになる」としています。
過去の診察内容や処方薬の情報などを医師や薬剤師に共有されるため、過剰な投薬や不必要な検査を防ぎ医療費が減る場合があるということです。
マイナンバーカードの取得やマイナ保険証の紐づけは“あくまで任意”ですが、一度、自分のマイナンバーの内容を確認してみる必要があります。
<マイナ保険証移行のポイント>
◆国が挙げるメリット
・手続きなしで高額療養費の限度額を超える支払いを免除する
・確定申告時の医療費控除が簡単になる等
◆診察時の持参物
これまで医療機関に行く時、必ず持って行くものは保険証・診察券・お薬手帳の3点だったが、マイナ保険証が使える医療機関や薬局であれば基本的にマイナンバーカード1枚あればよい。ただ、中学3年生までの子どもがいる家庭では、これまで通り「子ども医療費助成受給者証」を合わせて持参する必要がある。
◆移行後も経過措置あり
マイナ保険証への移行後は、現行の保険証がすぐに使えなくなるわけではなく、経過措置として最長1年間の移行期間が設けられています。ただし、自営業や退職した人が加入する国民健康保険、75歳以上が加入する後期高齢者医療保険は、2025年7月末までの期限となるので注意が必要。
◆「資格確認書」の提示で対応可能
健康保険証が新たに発行されなくなった後も、マイナ保険証や有効な健康保険証を持っていない人には、加入する医療保険者から健康保険証の代わりとなる「資格確認書」が送付され、資格確認書を提示すれば保険証として使用できる。
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