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熱い思いを冷たい氷に託し 元高校球児・氷店の吉田師士さん「夢に向かいプレーに集中を」と無償提供 福井

2024.07.23 19:15

高校球児の熱い戦いが行われている夏の高校野球県大会。熱中症が心配される炎天下での試合が続いていますが、選手たちを陰ながらサポートをしようと動く青年がいます。その思いを取材しました。
     
小林直史記者:
「福井市のセーレンドリームスタジアムです。こちらでは今甲子園の切符を掛けた熱戦が繰り広げられていますが、気温はすでに30度を超えています」
  
熱中症警戒アラートが発表された炎天下での熱戦。最高気温が35度を超える暑さの中で、選手たちは熱中症対策としてベンチに戻る度に、氷の入った冷たい飲み物を飲んだり、氷のうを首元に当てたりして体を冷やそうとしています。
   
氷を球児たちに届けているのは、福井市高木中央の氷店「さくら氷」代表の吉田師士さん29歳です。
  
午前6時半、さくら氷の加工場で、氷を車に積み込んでいる吉田さんの姿がありました。
  
さくら氷では、冬場に作った飲料用などに使われる「かち割り氷」の製造時に、規格外の大きさとなった破片の一部を有効利用しようと、熱中症対策として球児たちに無償で提供しています。
 
吉田さんは「自分も高校野球をしていたので、その時ぐらいから、35、36度の炎天下、猛暑日の中で試合をするようになって、足がつったり、ぶっ倒れることが実際にあった。氷は製氷機で各学校から持ってくるが、試合が始まる前に溶けてしまい、試合中には常温の飲み物を飲むので全然クールダウンができない。やってほしかったことを今の選手に返す、という思いでやっている」と話します。
  
氷の提供は去年から始めて今年で2年目。去年は福井の会場だけで行っていましたが、県内の全高校球児へ届けたいという思いから、今年から敦賀会場への提供も始めました。
  
大会期間中に吉田さんが提供するのは、2つの会場であわせて約240キロ。氷を入れる冷凍庫も各会場に2台ずつ無償で貸し出し、試合前の早朝か、その日の試合が終わった夕方ごろに補充しているといいます
 
県高等学校野球連盟の中川秀樹理事長は「非常にありがたく思っている。見ていると氷のブロックを首筋や脇にあてたり、飲み物に入れたりして体を冷やすのに利用している。選手たちは、いろんなところで支えてもらっている事を感じて、感謝の気持ちを忘れずに全力でプレーしてほしい」と歓迎しています。
  
元高校球児の吉田さんは、当時の自分自身の思いも重ねて「ちょっとでもベストパフォーマンスできるように。3年間いろんなことを我慢して頑張ってきているので、そこで一番発揮してほしい。余分なところに気を使わずにプレーに集中して、甲子園は小さいころからの夢だと思うので、そこを目指して無事に頑張ってもらえたら」とエールをおくります。
  
元高校球児から、炎天下で必死に戦う高校球児に贈られる熱い思いが、冷たい氷とともに届けられています。
      
吉田さんは「できる限り今後も継続していきたい。周りの大人がサポートしていることを感じてもらい、福井に残るきっかけになって欲しいし、大人になったときにサポートする側にもなってくれれば」と話しています。

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