空き家活用のモデルケースに！　築100年以上の古民家を改装した「ホテル＆商業施設」オープン【福井・坂井市】｜ニュース｜福井テレビ

坂井市三国町に8月、築100年以上の古民家を改装した施設がオープンしました。2Ｆはホテル、 1Ｆは食品店やカフェなどの商業スペースになっています。古民家のオーナーでリノベーションを手がけた福井市の企業は「人や物が行き交うにぎわいの拠点」を目指すとともに、新たな空き家の活用方法を広げたいとしています。どんな施設なのか取材しました。

8月坂井市三国町にオープンした「ミナト＆」は、2階に上がると壁にも、そしてベッドにも、恐竜があちらこちらにあしらわれた、恐竜をコンセプトにしたホテルです。築100年以上の古民家をリノベーションして作られました。手掛けたのは、福井市の木材加工会社ファーストウッドです。

ファーストウッド・北浜甲一取締役：
「なるべく既存のものを残したまま、建物自体の強度、断熱性を上げるかににこだわった。昔使われていた柱や梁がそのまま見れるような建物になっている」

ファーストウッドは、数年前に空き家になったこの古民家を購入しました。改修にあたりまず考えたのが宿泊施設としての活用でした。そのノウハウを持つあわら市の人気温泉旅館・グランディア芳泉に話を持ち掛け、ホテルのデザイン監修、そして運営を依頼しました。

グランディア芳泉・山口高澄常務：
「福井の観光の目玉は恐竜。恐竜と歴史ある古民家の融合を意識した。ジュラシックすぎないというか、あくまでも古民家の良さを残しながら、我々も60年間旅館をやってきたので、旅館の良さも残しながら監修デザインをした。三国とあわらの観光の懸け橋となって、より他県や海外に福井の良さを伝えたい」

この「ミナト＆」は、実は他にもこだわりがあります。ホテルだけではなく、物販や飲食などいくつもの事業者が入る「複合商業施設」にしたのです。

ファーストウッド・北浜甲一取締役：
「三国は北前船文化で栄えた町で建物の名前にもその思いがある。『みなと』は人や物が行き交う言葉の意味があり、この建物を使っていろんな人や物の流れが創出できればと考えている」

1階部分は6区画に分けた商業スペースとなっていて、8月から近くで農園を営む村田本気さんが、オーガニック食品や地元の野菜などを販売する店をオープンしました。

村田商店・村田本気店主：
「体に優しい商品を置いています。おすすめは僕が作っている米粉のイングリッシュマフィン。子供からお年寄りまでここに遊びにきてもらい活気のあるお店を目指したい」

また、9月からはカフェや駄菓子屋が営業をスタート。その他の区画にはマッサージ店や、伝統工芸品の土産物店などが候補に挙がっています。

近所で働いている人：
「昼食の選択肢が増えた。そばとか三国ならではのものはあるが、それとはちょっと違うものが食べられるのはうれしい」

「三国に楽しさを生む場所を」という思いで古民家をリノベーションしたファーストウッド。しかしこの事業には他にも大きな目的がありました。ポイントはこの古民家が「空き家」だったということです。全国に900万戸あると言われる「空き家」ですが、その空き家を複合商業施設に生まれ変わらせる。「ミナト＆」をモデルにして新たな空き家の活用法を提案したいと考えています。

ファーストウッド・北浜甲一取締役：
「今地方で問題になっているのが空き家。古民家はリノベーションするのに費用が高額になりやすい。我々は建物を作るノウハウを持つグループ会社なので、そういったノウハウを利用しながら低コストの古民家、空き家改修ができるようにここでノウハウをためた。空き家の問題は他の都道府県でも起きている。その問題解決の一つのきっかけになってくれれば」

古民家複合商業施設「みなと＆」は、2階は古民家ホテル「だいな荘」で、最大3人の部屋1部屋と定員2人の1部屋があります。1階は6区画の商業スペースになっていて、オーガニックの食品店や、オープンしたカフェや駄菓子屋があります。

空き家は全国的な問題で、総務省が発表した空き家の戸数は、2018年から2023年までに51万戸増えていて、県内でも2018年と比べると7700戸増加年々増えています。

「人や物が交流する賑わいの拠点」を目指す複合商業施設「ミナト＆」。古いものをただ単に壊すだけではなく、その良さを残しながら「新たな価値」を生み出せるものに変える。この事業が空き家活用の1つのモデルケースになるかもしれません。