ニュース
県内のニュース
運送×タクシー×旅行会社がタッグ組みライドシェア参入 人手不足や市場縮小など共通する課題解決の一手に 永平寺町で11日スタート【福井】
タクシーの供給不足の解消を目的に、福井県内でも2024年9月から始まった日本版ライドシェア。この日本版ライドシェアを▼市場縮小▼働き方改革▼観光振興といった企業や地域の課題解決に活用しようという取り組みが、11日から永平寺町で始まります。
永平寺町で始まるのは、日本版ライドシェアを活用した観光タクシーツアーです。町内の運送会社・日本商運とタクシー会社・松岡交通、大手旅行代理店・JTBの3社による取り組みで、福井駅を起点に、大本山永平寺や酒蔵など永平寺町内の主要観光地を巡ります。
車両の提供は松岡交通、ドライバーは日本商運の社員が担い、ツアーはJTBが販売します。
この取り組みに至った背景には、運送やタクシー業界が抱える課題がありました。
日本商運の平木ひとみ社長は「人口が減少し経済が縮小する中で仕事の取り合いがあり、2024年には長時間労働の法改正もあって、仕事がない、ドライバーもいない状態で運送業をどうするかという課題はずっとあったし、今もある」と現状を話します。
また、松岡交通の古市恭也社長も「我々タクシー会社が二次交通の一翼を担っているが、当社もドライバー不足という課題があった。日本版ライドシェアという話が持ち上がってきて、何とかうまく利用できないか模索していた」と話します。
また、永平寺町も冬場の観光客が少ないという課題を抱えていました。同じ町内で市場縮小、働き方改革、人手不足に悩む2社が、町内の観光に特化した日本版ライドシェアで、自社の課題解決に活路を見出した形です。
松岡交通は「日本商運のドライバーにタクシーに乗ってもらえば、運転のプロなので安心してお任せできる」と話し、一方の日本商運も「ドライバーという資源を提供することでライドシェア事業に乗っかることができ、何か新しい商流、物流が生まれるのではないか。観光客が来てお土産を買えばそれが商流、物流になり、運ぶ仕事ができるかもしれない」と期待を込めます。
今回、ライドシェアを活用したタクシーツアーを運行することで、永平寺町内の経済活動が活性化されることが期待されています。
JTBの販売力を生かしてツアーが数多く運行されれば、タクシー会社の売り上げやドライバーの所得向上につながり、永平寺町が観光で盛り上がれば新しい物流という仕事が生まれる可能性もあります。
自治体と交通会社だけの枠組みに留まらず、旅行代理店や地域の別会社ともタッグを組むことで、市場縮小や働き方改革といった共通課題の打開策となるのか。日本版ライドシェアの一歩進んだ活用方法として注目される観光タクシーツアーは、11日から2月末までの毎週土曜日に運行されます。
- 広告