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過疎地域に移住した東京の青年 伝統文化「竹田じょんころ」継承で感じた地域の結びつき【福井】
人口減少について考える「75万人の未来」のコーナーでは今回、人口約270人の坂井市丸岡町竹田地区を取り上げます。竹田小学校は10年前に廃校となりました。そんな竹田地区に2024年4月から、農業を志して東京からやってきた若者がいます。この若者を通して、人口減少が進む地区の課題を見つめます。
坂井市東部の山あいに位置する丸岡町竹田地区。地元の人に借りた畑で農作物を育てるのは緑のふるさと協力隊の池田英樹さんです。竹田地区に来て5カ月が経ちました。
この日は、竹田地区での暮らしをサポートしてくれている竹内作左衛門さんと、サツマイモの成長を確かめる“試し掘り”をしていました。スコップで掘ると、出てきたのは小ぶりなサツマイモでした。「微妙ですね。何がダメなんだろう」と池田さん。経験豊富な竹内さんは「やっぱり天候やな。ここの土はいいもん」と返します。
「もう少し放っておこうかな」と悩む池田さんに、竹内さんは「池田くん、思うようにはいかん。元々は自然薯の畑だったところに初めてさつまいもを植えるんだから。来年から上手くいくかも」と助言します。
もう少しサツマイモの成長を待とうと、池田さんは収穫を先延ばしにしました。
8月6日、日が沈み暗くなった頃、竹田コミュニティセンターに太鼓の音が響いていました。10月の「竹田じょんころ祭り」に向けて竹田音頭保存会のメンバーが中心になって地元の子供たちを集め、月に2回、太鼓の練習をしています。子供たちに交じって池田さんも太鼓の特訓中です。講師から、ばちさばきや体重移動など基本的な動作を学びました。
子どもたちは「楽しいです。リズムが少し難しい」「みなで太鼓をたたくところが楽しい」と生き生きした様子。
太鼓練習の後は「竹田じょんころ」の唄と踊りの稽古です。見事な節回しで歌う子供たち。竹田地区に数百年前から伝わるとされるしなやかで優美な踊り「竹田じょんころ」は、坂井市の無形民俗文化財に指定されています。
池田さんもリズムに合わせて、踊りも徐々に体に馴染んできているようでした。
竹田じょんころについて竹田音頭保存会の大川貞幸会長は「伝統文化の継承には住民の協力が欠かせない」といい、「竹田小学校が廃校になり、学校行事で竹田じょんころを歌うことがなくなったので、地区で子供に伝え守っている」と話します。
子どもたちと練習を続けて3年目になり、徐々に歌と踊りが浸透しています。大川さんは「掛け声の『あらどっこいさのさっさーあーあー』と、とても元気に歌ってくれている。自分の孫も車の中で歌ったりと日常の中に唄があるので、小さいときから慣れ親しみ聞いていることが体の中にしみ込み、竹田地区のDNAになり伝わっていくことを大事にしたい」と話します。
練習に加わっている池田さんも「踊りはだいぶできているが唄がまだなので、今度は唄をやらなきゃ。こういう場所で一緒に練習をするのはいいし、地域の方とも仲良くなれているかな」と手ごたえを感じています。
人口減少に伴う廃校で、これまで教育現場でも行われていた地元の伝統文化の継承は、地元の有志に託されています。地元住民の熱意で支えられている「竹田じょんころ」。10月6日の祭りに向けて練習の熱が高まっています。
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