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“雪国育ちのバナナ”初収穫 脱サラし農業に初挑戦の男性「越前ばなな」ブランドで年間1万本出荷へ【福井】

2024.12.25 18:45

日本で消費されるバナナの国別の輸入量ランキングでは、フィリピンやエクアドルなど赤道近くの国の生産地から99.9%を占めています。日本での生産量はほとんどない状況ですが、雪国の福井でバナナの栽培を始めた男性がいます。
  
真冬の寒さが続く県内ですが、福井市下馬町にあるハウスの中に入ると、じんわりと暖かさを感じます。広さ800平方メートルのハウスの中では150株のバナナの木が栽培されていて、南国を思わせる光景が広がっています。
  
バナナを栽培しているのは江島尚希さん(61)です。2023年10月に植えた苗は5メートルにまで成長し、12月中旬に初の収穫を迎えました。
  
なぜ寒さが厳しい福井で、バナナを栽培しようと思ったのでしょうか?

江島さんは「福井で農業に関わることがしたいと思っていた。イヌの散歩をしているときにバナナの木のようなものを見つけた。ちょうどそのころ温暖化が頻繁にニュースに取り上げられていて、いよいよ福井でもバナナが育つ気候になってきたのかなと思ったのがきっかけ」と話します。
 
兼業農家の家に生まれた江島さんは、会社勤めをしながらチャンスがあれば農業をしたいとずっと思っていたといいます。
 
そんな江島さんに転機が訪れたのは2年前。農業の担い手を育成する県の「ふくい園芸カレッジ」の募集が60歳までと知り、思い切って入学する道を選びました。
 
園芸カレッジでは、1年間で野菜や果樹など幅広い作物の栽培方法を学びましたが、もちろんバナナの授業はありませんでした。
  
そこで、江島さんはカレッジを卒業後、岡山県でバナナの苗を販売している人のもとへ3カ月間修行に行き、栽培方法を学びました。
 
しかし、初めての農業で、しかも日本では珍しいバナナの栽培とあって順調には進まなかったといいます。「研修先では虫も来ないし、無農薬で栽培できるという話を聞いていて、これは良いと思ったが、意外とサトイモに付くようなヨトウムシの幼虫が出て、手で取るしか無くて大変だった」と苦労を口にします。
   
江島さんが栽培を始めたのは2023年10月。県外のバナナ農家に相談するなどあきらめずに栽培を続けた結果、10カ月後に見事、花を咲かせました。江島さんは「実がなった時より花が咲いた時の方がうれしかった」と喜びを振り返ります。
  
手間暇かけて無農薬で育てたこのバナナ。品種は台湾由来のもので糖度が高く、さっぱりとした甘みともっちりとした食感が特徴です。
 
収穫した後は、温度や湿度を管理できる熟成室で1週間寝かすことでさらに甘味が増すということです。
 
雪国、福井生まれのバナナは、国産としては安価だという一本600円で、福井市内の農産物直売所で年末から販売が始まる予定です。
       
農園では「越前ばなな」としてブランド化を目指していて、年間1万本ほどの出荷を
見込んでいます。また、江島さんは今後、障害のある人の職場の1つに選んでもらえるような農園にしたいと話しています。

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