21年ぶりイオン進出で“戦国時代”の様相 福井県内の小売業界 迎え撃つ既存店の戦略を専門家が解説|ニュース|福井テレビ

ニュース

  • ホーム
  • ニュース
  • 21年ぶりイオン進出で“戦国時代”の様相 福井県内の小売業界 迎え撃つ既存店の戦略を専門家が解説

ニュース

県内のニュース

21年ぶりイオン進出で“戦国時代”の様相 福井県内の小売業界 迎え撃つ既存店の戦略を専門家が解説

2024.07.30 19:10

7月、福井市内に県内初のイオン「そよら福井開発」がオープンしました。福井にイオンが進出するのは実に21年ぶり。福井は、全国唯一の「イオン空白県」と言われ、進出を待ち望んでいた人も多かったのではないでしょうか。その一方で、巨大小売チェーンの進出は県内の商圏を大きく変える可能性もあります。県内の小売業界に与える影響について取材しました。
     
7月13日、福井市西開発にイオンのショッピングセンター「そよら福井開発」がオープン。イオンの前身、ジャスコが核となり営業していたショッピングタウン・ピアの閉店以来、実に21年ぶりとなる進出です。
 
買い物客からは「福井にイオンができてうれしい」「大きいしたくさん品物があるので買いやすい」「他県に住んでいたがイオンはよく利用していたので、また来たい」などと喜びの声が上がっていました。
 
オープン2日間の来店者は約1万6000人で、店側も「堅調なスタート」と手ごたえを感じています。
  
ただ、そよらが立地する福井市西開発はまさに激戦区と呼ぶにふさわしいエリア。
半径2km圏内には、フレンドマート福井にワイプラザ、エルパなどのショッピングセンターに加え、スーパーマーケットやドラッグストアもひしめき合っています。
   
県内1号店としてはかなりハードルが高いエリアと言えそうですが、専門家はイオンがこの激戦区に進出してきた背景についてこう分析します。
 
福井県立大学副学長・北島啓嗣教授:
「実は今までイオンは瀬踏みをしていた。ウェルシアやマックスバリューという形でゼロ次進出した結果、イオンのブランドは嫌われていないと彼らは思ったと思う。それで本格的にイオンというブランドで進出してきた。もうテストは終わったんだという感じ」
 
さらに北島教授は、イオン進出の波はこれで終わらないと予想します。
 
福井県立大学副学長・北島啓嗣教授:
「これはたぶん始まり。セブンイレブンが進出してきた時を思い出してもらうとわかると思うが、ある程度まとまって出店しないと採算が取れないので、「規模の経済」が働く。トラックや物流システム、工場はある程度の規模感がないと支えられないので、一店舗で終わるとは到底思えない」
 
一方、迎え撃つ既存店も“イオン対策”を講じています。「そよら」から約 300m先にある「フレンドタウン福井」は、平和堂のスーパーマーケットを核に、無印良品やダイソーなど15の専門店からなるショッピングセンターです。
   
平和堂フレンドマート開発店・長谷川剛店長:
「非常に危機感をもって迎えたが、まず我々のできること“地域のお客様の役に立つ”というところをもう一回しっかり磨いていきたい。特に我々の強みであるお弁当、お寿司、お総菜など、出来立てでおいしい商品を突き詰めてやっていきたい」
 
店内加工にこだわっている総菜は平和堂の最も得意とするところ。販促に有名歌手を起用したハンバーガーは、売り切れる日もあるほどの人気ぶりです。共働きの率の高い福井の食卓を支えるパートナーとしての地位を固めたいと話します。さらに「人気のあるテナントを目的に足を運ばれる客もたくさんいて、ついでに食品を買ってもらうことが期待できる。テナントが揃っている店ということでしっかりアピールしていきたい」とも話します。
  
2023年には、福井進出50周年を迎えた平和堂。フレンドタウン福井も10年以上営業していることもあり、エリア特性や消費者の好みなど長年培った「ノウハウ」に勝機を見出しています。
 
北島教授も、イオンと既存店との今後のシェア争いに注目しています。
 
福井県立大学副学長・北島啓嗣教授:
「今回のそよらの店舗を見たが、まだ福井にアジャストしていない。まだ付け込む余地はたくさんあるという印象。そういう部分をイオンが修正するのが先なのか、福井がイオンに対抗策をぶつけるのが先なのか、進出の勝負ではなく、今度は細かいマーチャンダイジング(商品計画)や品ぞろえの勝負になるだろう」
  
イオン進出の県内への影響について北島教授は、現時点で、今回オープンした「そよら福井開発」はスーパーマーケット主体の小規模ショッピングセンターということで、県内の既存店に与える影響はさほど大きくないと分析しています。

一方で、「規模の経済」「一店舗で終わると思えない」との発言通り、今後、店舗数が増えれば影響も大きくなり「ある程度の淘汰はある」としています。

さらに「イオンが最も得意とするのは『モール』で、大きな店構えに全国的に人気のテナント集める「イオンモール」は集客力も強い」と指摘したうえで、「この最も儲けることができる『モール』での形態を含めて、県内でも色んな形での進出が広がる」と予想しています。
  
今後の出店計画について、そよらを運営するイオンリテールは「決定しているものはないが、新規出店に向けて動いている」としています。
 
戦国時代の様相を呈してきた福井の小売業界。果たしてどの店が“勝ちどき”を上げるのでしょうか。

  • Twitter
  • LINE
【公式】福井テレビニュース
  • 広告