ニュース
県内のニュース
LGBTQ活動家の思い「受け入れてとは言わない、ただ知って欲しい」 心も“ひと皮”むける女装を男性アナウンサーが体験【福井】
福井テレビの田島嘉晃アナウンサー(33)。入社して10年、様々なキャリアを積んできたが、まだ経験していないことがある。「男性として生きてきたけど、女性だったらどんな人生を歩むのかな」そういって“一皮むける”ために向かったのは…
◆「夢がかなった」との声もある女装体験
福井市の貸衣装店「マリーマリエ」。男性も、ドレスを着てヘアメイクをし、本格的な女装体験ができる。多様性を認め合うこの時代、田島アナは「体験を通して新たな視点を取り入れたい」と考えた。
店では当初、女性を対象に「お姫様体験プラン」として展開していたが、男性からの要望を受け、13年前に「女装変身プラン」が誕生した。いまでは年間100件ほどの利用があるという。代表取締役の井関ひとみさんは「女の子になれて“認められた”と喜ぶ人もいる」と話す。
店のアンケートには、体験者の様々な思いがあふれていた。
“女性として扱われて嬉しい”
”感動的な体験だった”
”夢がかなった”
◆新たな視点を求めて…田島アナも女装を体験
田島アナもドレスを選ぶことにしたが「きらびやかでまぶしい!迷っちゃう」と300着ほどあるドレスから、1つに絞り込めず…プロに似合いそうなドレスを選んでもらった。「お似合いになると思いますよ」と井関さんが手に取ったのは、かなり“攻めた”ドレス。
スーツを脱いで、いよいよヘアメイク。ファンデーションに口紅、つけまつげにも初挑戦。「うわうわうわ!つけまつげ初めてです!」仕上げに、ウェーブのかかったロングヘアのウイッグをつけて…
◆果たして街の反応は…?
30分後、カメラの前に登場したのは、ファー付きのミニドレスに身を包み、見事に変身した田島アナ。「お似合いです。かわいい」といわれ、まんざらでもない様子。「うれしい。みなさんのリアクション気になります」と反応を確かめに、さっそうと街中へ。
街ゆく人をつかまえて「いかがですか、私の女装姿は?」と尋ね歩く田島アナ。女子高生からの「待って!た?た?田島さん!?似合ってます!かわいい!」と上々な評判に気を良くし、「福井テレビはご覧になる?実は私、こういうもので」と次々とアタック。
「女装が好きな男性をどう思う?」と尋ねると「いいと思う。自分の個性だから」という声も。街で感じた声を背負って、今度は女装でLGBTQの活動をする人の元へ向かった。
◆LGBTQ活動家に思いを聞く
福井市の繁華街、通称“片町”にあるバー「妖かし」。「こんばんは。いらっしゃいませ」と出迎えてくれたのは、女装LGBTQ活動家の花華院姫子(はなかいん・ひめこ)さん。姫子さんは普段、会社員として働き、週末のみド派手なメイクと衣装を身にまとい、バーを切り盛りしている。心理カウンセラーの資格を持ち、県内の学校でLGBTQの話をするなど、幅広く活動している。
姫子さんの友人・セシルさんにも加わってもらい、どんな気持ちで活動をしているのかを聞いた。
田島アナウンサー:
素直に言っていいですか。周りの人がすごく見てくるけど、その見方もそれぞれで、何その格好?という人もいて、そうすると悲しくなる。みなさんはどんな気持ちで女装をしているのですか?
姫子さん:
私たちは、基本的に仕事なので華やかさをプラスしたり、面白さをプラスしたりするためにやっている。
セシルさん:
普段のすっぴんは薄い顔なので、濃い顔にしたくてメイクする。その分、ちやほやされたい!
姫子さん:
私は意外と人見知りなのだけれど、この格好ならどこでも入れる。女装は仮面をかぶっているのと同じ。女装というくくりではなく、ちょっと変身してみようかな、と言う感じ。眉毛を書くだけでも違うと思うし、ちょっと自分を変えてみることで、沈んでいた自分が出てくるかもしれない。
女装を始めて30年。姫子さんは前向きになれたという。
◆「受け入れてとは言わないが、ただ知って欲しい」
今回、初めて女装を体験した田島アナ。「色んな人がいることを認め、心を広く持つことが大事なのかな」と感じたという。「一番それが伝えたいこと。色んな人がいる。それを受け入れろとは言わないが、ただいることを知っておいてほしい」と姫子さん。
「お互いに存在を認め合えるよう、声なき声を届けるために、今回の体験を通してさらに頑張っていきます!」ひと皮むけた田島アナの、新たな年が始まった。
- 広告