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SNSに写真を無断投稿、虚偽のうわさを流すなど6事案を「いじめ」に認定 鯖江市教委第三者委が調査報告
鯖江市内の中学校で起きたいじめの重大事態について、第三者調査専門委員会は13日、六つの事案をいじめと認定し、学校側の対応の遅さなどがいじめをエスカレートさせた原因だとする調査報告書を公表しました。
会見では、調査専門委員会の委員長を努める海道宏実弁護士らが、調査の結果、いじめと認定した事実などを説明しました。今回のいじめを巡っては、鯖江市内の中学3年生とその保護者から訴えを受けた市教委が、2023年1月、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」と認定し、2023年4月に第三者の調査専門委員会を設置しました。
調査委員会は、約1年かけて事実認定や提言を盛り込んだ報告書をまとめ、2024年4月に市教委へ提出しました。被害生徒と保護者や加害者の生徒、教員ら合わせて20人に聞き取りを行った結果、六つの事案を「いじめと認定した」ということです。
具体的には、▼中学1年生の時に写真を無断でSNS上に投稿されたこと▼クラスメイトと交際しているという虚偽のうわさを流されたこと▼繰り返し名前をからかわれたことなどです。
いじめの始まりとなったSNS投稿の事案では、担任の教諭から加害者の生徒に適切な指導をしていれば、いじめがエスカレートすることはなかったとしました。
海道委員長は、「いじめの行為そのものよりも、その後の学校側の不適切な対応で被害生徒の心理的苦痛をより強いものにしたことは明らか」批判、学校側の具体的な対応については、▼被害生徒が悩み調査のアンケートでスクールカウンセラーへの相談を希望したにも関わらず、担任の教諭が相談内容を生徒に確認したこと、▼この相談内容を、同じ学年を担当する教諭や学年主任との間にとどめ、管理職に届かなかったこと、▼被害生徒がカッターナイフを持ち歩く緊急性の高い危険な事態が判明したにも関わらず、具体的なケアが見られなかったことなどを挙げ、対応が後手にまわったことを非難しました。
この後、市教育委員会も会見を開き、調査委員会の提言を受けて定めた「いじめの再発防止対策」を説明しました。学校側の対応が遅れた原因として、いじめ防止対策推進法が現場の教諭らに十分浸透していなかったことから、対策として市で全教職員を対象としたいじめの対応や生徒指導の研修を行うとしてます。
そのほか、市内の全ての小中学校を対象とした対策として、▼いじめのアンケート調査でタブレットを使い、児童や生徒が相談相手を選択できるようにする、▼市が新設する、退職した教員らでつくる「対応支援チーム」と連携するなどの対策をとるということです。
市教委は14日午後3時半から臨時の校長会を開き、いじめ防止対策について説明することにしています。
今回の調査報告書の概要は、市のホームページで公開されています。
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