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白山信仰で栄えた旧吉谷村はいま… 東京出身のふるさと協力隊・池田英樹さんの“地域を知る”活動に密着
人口減少について考える「75万人の未来」のコーナーでは、今年4月、東京から福井県坂井市東部にある中山間地域「竹田地区」にふるさと協力隊としてやってきた池田英樹さんの活動に密着しています。今回、池田さんが活動するのは旧吉谷村という廃村で、かつて白山信仰で栄えた場所です。この場所で住民とともに草刈りなどを通して整備し、今も残る歴史文化を守る活動を取材しました。
たけくらべ広場から火燈山(ひともしやま)方面へ、なだらかな山道が続き徐々に狭くなる道を車で進むこと約20分。広場に到着し、池田さんがまず取り掛かったのは、看板の修理です。難しいところは、師匠の坂井市地域コーディネーター・竹内作左衛門さんに応援を依頼し、一緒に修理します。20分ほどで看板をリニューアルすると、休む間もなく草刈りです。
坂井市地域おこし協力隊の山中菜月さんも、助っ人として参加しました。京都府出身の山中さんは、学生のときに「竹田Tキャンプ」という活動で初めて竹田地区を訪れました。「竹田Tキャンプ」とは、大学生が住民や行政と連携しながら、地域の課題を考え企画する活動で、今年で9年目を迎えます。山中さんに竹田地区について聞くと「第一印象はトトロ。学生も何度も足を運ぶ理由は、地域の人に会いに来るというところが大きい。顔がつながる関係になると何度も来てくれるようになる」と話します。山中さんは現在、経験を生かして学生と地域をつなぐ活動に取り組んでいます。
草刈りが一段落すると、旧吉谷村に小さいころよく遊びに来ていたという竹内さんに、歩きながら村を案内してもらいました。
坂井市地域コーディネーター・竹内作左衛門さん
「ここは田んぼ。向こうが吉谷村。昔は杉の木がなく明るかった。この辺に集落があって住宅が立ち並んでいた。この上に白山神社があったが、管理する人がいなくて、村の大工が自分で建物を作って、その中に神様を入れてある」
村の人が作ったという白山神社は、村に人がいなくなった今も、竹内さんらの手で周辺の景観が保たれています。その後も山の中を歩いていくと、透明な水をたたえた池が現れました。古くから枯れることなくこんこんと湧き続ける「独鈷清水(どっこしょうず)」です。竹内さんが「この池の水で顔などを洗うと、病気が治るといういわれがある」と教えてくれました。
そして、さらに奥へと進み、本来なら滝が見えるはずだという場所に来ましたが、その姿は見えず…竹内さんによれば、水量が少なくなってしまったのことでした。まさに秘境のような場所で「お坊さんはこの上を登ってさらに上にある滝で修業した」と竹内さん。その「上にある」という滝の撮影に向かいました。
藪をかきわけ、急な斜面を上がった先に、僧侶が修業するという滝がありました。一段高く奥まったところにある、木々に囲まれ高度感を味わえるとっておきの滝「吉谷寺不動滝」です。
ここで終わらないのが竹内さん。「きょうのごちそうや」と水ぶきを見つけました。池田さんもすかさず収穫します。夜「おひたし」にして食べるといいます。
「竹内さんに連れて来きてもらうまで、こんな場所があったことすら知らなかった。実際に見て、ここで生活していた人がいたのを知れたことが大きい」と、また一つ、竹田地区に詳しくなった池田さんでした。
竹田地区では、池田さんのような「緑のふるさと協力隊」のほかに「竹田Tキャンプ」の活動もあり若者が全国から集まっています。任期や活動期間が終わった後も、竹田地区を訪れる若者が多数います。関係人口を増やしている竹田地区について、福井テレビでは今後も、取材を続けていきます。
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