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福井駅前で「小さな再開発」進む ターゲットは地元のリピーター 投資を抑え“小回りの利いた”リノベで次世代に残る街づくりを
北陸新幹線の県内開業から約半年が経ちました。新幹線が県内を走る光景が日常になりつつある中、県都の玄関口、福井駅周辺の「にぎわい」について考えます。
まちづくりのキーパーソンに「開業効果」を聞くとともに、効果を持続させるためには今後、何が必要なのか。また、さらなる「にぎわい」を生もうと取り組む「新たな仕掛け」を取材しました。
話を聞いたのは、福井市中心市街地の活性化に取り組む「まちづくり福井」の松尾大輔社長です。新幹線開業後の街の変化について松尾社長は「(新幹線開業後)明らかに人が増えている。特に土日もそうだが、平日昼間の人通りも増えていると感じる。県外客のみならず県内の人の往来も増えているので、街づくりの観点からも、かなりいい傾向にあると感じている」とします。
「非常に良いスタート」と評価する松尾社長。それを裏付けるように県観光連盟がKDDIの位置情報ビッグデータをもとに福井駅周辺の人手を分析したところ、新幹線開業後は前年から約3割増加しました。
施設別では、「くるふ福井駅」が開業から毎月100万人前後を集客しているほか、駅前の新たなランドマーク「フクマチブロック」にあるレストラン兼ミュージックホール「ULO」や飲食フロア「ミニエ」は地元客を中心に平日でも賑わいを見せるなど、開業に伴いオープンした駅前の新スポットは軒並み好調なようです。
大規模な再開発で誕生した福井駅前の「目新しさ」が好調の要因と分析している松尾社長。今後、この賑わいを持続させるためのポイントに「地元客のリピート」を挙げます。
まちづくり福井・松尾大輔社長:
「県外客目線のメニュー作り、お店作りをしている店舗がかなり増えている。今後の継続的な利用を考えると、地元の人向けのメニューや店作りも考えていかないといけない」
そんな地元客を呼び込む新たな一手として、まちづくり福井では新栄商店街で、ある事業を始めています。
キーワードは「小さな再開発」です。
まちづくり福井が取り組むのは区画のリノベーション事業です。商店街特有のレトロな雰囲気を保ったまま、隣り合った3つの建物を改修し、長屋のようなイメージでカフェやギャラリー、シェアオフィスなどを備えた複合的な建物を2025年春にオープンさせます。
松尾社長はその狙いについて「大きな再開発が進む中、大きなコストをかけるとどうしても大きな回収をしないといけない。そうなると、どうしても外のお客さん目線になり、観光客をどれだけ集めるかということになるが、まちづくりという観点では、地元の人が日常使いできる場所が絶対に必要」と話します。
松尾社長が懸念するのは、大きな投資を回収するために福井の街が観光客向けにシフトしすぎることです。
観光地を訪れた際、インバウンド向けなどに高級なメニューばかりを取り揃えている店を見た経験はないでしょうか?そのような店ばかりになれば「地元客のリピート」は到底期待できません。
まちづくり福井が今回のリノベ―ションにかける金額は、再開発ビル「フクマチブロック」の総事業費449億円の約320分の1にあたる1億4000万円で、2025年春のオープン以降も建物の運営を担います。
大きな投資をしない「小さな再開発」だからこそ運営側はテナント料を抑えることが可能で、出店する店側も地元客が繰り返し通いやすい手ごろな価格帯のメニューやサービスを取り揃えやすくなる、というわけです。
加えて今回のリノベーション事業は、多くの地権者がいるがゆえに、これまでなかなか再開発が進まなかったというこの地区の特徴をうまく取り込めるといいます。
松尾社長は「今まで再開発がされずに残ったところを逆に利用して、小さいエリアごとにリノベーションしながら、より次の世代に残していける場所にしていけるにしてほしい」と話します。
隣り合った数軒の合意という「低いハードル」で進めることのできる「小さな再開発」。松尾社長は、今回のリノベーション事業をモデルとして民間レベルで第二、第三の「小さな再開発」が続くことを期待しています。
まちづくり福井・松尾大輔社長:
「いろんな店舗が互いに頑張って小さな工夫を少しずつすることで、常に変化があり活気のある町になり、人が常に来てくれる持続性のある町にできるのではないか」
福井駅周辺ではいま「B街区」の建設工事が進んでいて、今後は「南通り商店街」や「アリーナ建設」などさらなる大規模な再開発も控えています。
街の経済規模が大きくなれば、当然それを維持するための経済活動が求められます。新幹線が運んできた現在の賑わいを持続させるため、今こそ地元に根差したまちづくりが求められそうです。
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