番組情報
- 偶然の色合い
- 2020年06月21日(日)放送
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高浜町三明にある「まちなか交流館」。この場所を利用して、草木染のワークショップを開いているのが、永登裕芳理さんです。
永登さんは、大学時代に染色を専攻していましたが、就職を機に高浜町に帰郷。その後10年以上染色に携わることはありませんでした。しかし、数年前に町内の草木染教室に参加してみたところ、その奥深さに魅了されました。
草木染とは、天然の植物を染料として染める技法で、身近な植物から意外な色合いが作り出せる面白さがあります。永登さんが作っていたのは高浜町特産の杜仲茶を使った染料。20分ほど煮出し色が出たところに布地を入れます。30分ほど漬けたところで「色止め」として金属イオンを入れて出来上がり。草木染めは自然の中の化学変化を楽しむという一面もあるのだそうです。
去年は自ら育てた蓼(たで)を使いました。蓼は藍染に用いられ、青く染まります。その際、ひとりで染めてもつまらないと考えた永登さんは、まちなか交流館でワークショップを開催し、大勢の人と草木染を楽しみました。
永登さんの活動を聞きつけた「まちづくりネットワーク」から声がかかり、去年12月には個展も開催しました。天然の草花が作り出す色に加え、環境によって変わる色合い。同じものは決してできないという「偶然の美しさ」が多くの人を引きつけています。
「染物は各地のテイストがある」と考える永登さん。杜仲茶を使うなど、高浜ならではの“色”を出していきたいと話します。また、ソーシャルディスタンスが求められる今は、オンラインや録画で染色教室を開く新たな取り組みにも意欲を見せています。