番組情報
- 古民家アトリエ 観自庵(かんじあん)
- 2021年11月07日(日)放送
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福井県高浜町のシンボル、青葉山。その山麓にあるのが古民家を改装したアトリエ『観自庵』(かんじあん)です。観自庵を拠点にアート活動をしているのは、キム・ミョンヒさん。韓国・ソウル生まれで京都を経て、9年前から高浜町に移住し、絵画やオブジェ、染め物などの創作活動を行っています。
キムさんがアトリエを探していたころ、高浜在住の友人から古民家を紹介され、一目ぼれしてしまった建物が、「観自庵」です。特に天井を支える立派な梁が印象的だったそうです。力強い曲線美、長い年月を経たものに特有の重厚感。「自分がここを使わなければ美しい日本の伝統建築がひとつなくなってしまうのではないか」という想いで、その場でアトリエにすることを決めました。
建物だけでなく自然に囲まれた青葉山での暮らしも、キムさんの創作活動に影響を与えています。キムさんは、「あるがままの自然の美と真正面から向き合うことで、もう一度自分を見つめ直し、今、創るべきもののヒントを得られる」と語ります。
例えば、キムさんは絵を描くときに、染め物に使った染料の残りを絵の具として使います。強烈な発色が得られることも理由の一つですが、観自庵に移った当初、都会暮らしが長かったキムさんが筆を洗ったところ、排水が下水管ではなく集落の水路を流れていくことに驚いたそうです。それ以来、染料や絵の具はなるべく流さないようにギリギリまで使い切る絵を描くようになりました。
ここ数年は、芸術家仲間を集めて「観自庵国際アート展」を開催し、様々な国の出身者のアーティストに青葉山での暮らしに触れてもらっています。高浜町の住民にもワークショップへの参加を通して、アーティストと交流を図っています。小さなことでもお互いに知り合い、認め合うことで、よりよい関係を築いていこうとしています。
キムさんは、観自庵を拠点に、都会と田舎をつなげ、さまざまなメッセージを伝えていきたいと話しています。